2009年秋季大会(第11回)

“待遇コミュニケーション”における「場面」の概念を考える

プログラム

開会13:00
第1部研究発表会
13:10~13:40「可能の表現」が表す「行動展開表現」
倉本幸彦氏(早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了)
13:45~14:15同意と不同意の表し方の日中比較
胡叡氏(麗澤大学大学院言語教育研究科博士後期課程)
14:20~14:50「行動展開表現」における「決定権」=「自分」に関する理論的考察
伴野崇生氏(早稲田大学日本語教育研究センター)
第2部大会運営委員会企画
15:00~16:00「待遇コミュニケーションにおける「場面」の概念を考える」
第3部講演会
16:15~17:45「敬意はどこからくるか ― 認知語用論の観点から」
武内道子氏(神奈川大学外国語学部英語英文学科教授)[講演者紹介
閉会18:00
懇親会18:20~19:20(22号館8階会議室)

講演者紹介:武内道子氏(神奈川大学外国語学部英語英文学科教授)

講演者のご業績とメッセージ

1.啓蒙的解説的書きものとして
  1. ブレイクモア、D. 武内道子・山崎英一(訳)(1994).『ひとは発話をどう理解するか ― 関連性理論入門』ひつじ書房.(Blakemore, D. (1992). Understanding utterances: An introduction to pragmatics. Oxford: Blackwell.
  2. カーストン、R. 西山佑司・内田聖二・松井智子・武内道子・山﨑英一(訳)(2008).『思考と発話 ― 明示的伝達の語用論』研究社.(Carston, R. (2002). Thoughts and utterances: The pragmatics of explicit communication. Oxford: Blackwell.
  3. 武内道子(2002年7月).言語形式の明示性と表意『英語青年』148(4)、240-241(36-37).
  4. 武内道子(2003年1月).関連性理論の意味論『英語青年』148(10)、638-639(38-39).

私は、認知語用論としての関連性理論(Relevance Theory)を広く知らしめること、若い研究者(誰でも私より若いのですが)への理解の助けになりたいという思い、関連性理論のためならという思いを持って研究しています。

そもそも情報授受全体を律している原理原則として開発された関連性理論ですが、人と人が行うことばによるコミュニケーション、つまり発話の理解を説明する理論として発展してきました。すなわち語用論研究への道を開いたことが大きな功績といえます。

上記1.はそのことばによるコミュニケーションの実際をどう説明するか、つまり語用論の教科書とも言うべきものの翻訳です。理論の基本的考えは変わっていないので、これまでかなり読まれてきました。2.は2002年までのこの理論の集大成とも言うべきものの翻訳です。3.と4.は、『英語青年』の「海外最新言語学情報」という1年間に亘る特集に2回書きました。

2.

私の研究への興味は、一言でいえば関連性理論の日本語への応用ということです。

国語学という名のもとで分析されてきた日本語の諸現象を、人間の言語使用という普遍的な観点から見ることによって、新しい光が当てられることになり、日本語の深いところでの普遍性と特殊性が見えてくると思っています。

一方、日本語からの知見が理論への説明力を証明し、理論の修正、精密化をせまり、理論の発展に貢献できるとも考えています。以下は、学会での口頭発表は別にして、その線上の論文の一端です。

  1. Takeuchi, M. (1998). Conceptual and procedural encoding: Cause-consequence conjunctive particles in Japanese. in V. Rouchota, & Juker, A. (eds.) Current issues in relevance theory (pp.81-103). Amsterdam: John Benjamins.
  2. 武内道子(2000年10月).論理形式と表意『英語青年』146(7)、433-435(17-19).
    武内道子(2000).論理形式から表意へ ― 「ば」構造の場合『学習院大学言語共同研究所紀要』24、119-130.
  3. 武内道子(2003).手続きの記号化 ― 「やはり・やっぱり」の場合『語用論研究』5、73-84.
  4. 武内道子(2005).関連性への意味論的制約 ― 「しょせん」と「どうせ」をめぐって 武内道子(編)『副詞的表現をめぐって ― 対照研究』(pp.63-87)ひつじ書房.
  5. 武内道子(2006).認知語彙論への試み ― 「やばい」をめぐって『人文学研究所報(神奈川大学人文学研究所)』40、1-9.
  6. Takeuchi, M. (2008). Concessives in Japanese: DEMO and KEDO in utterance-initial use. In M. Takeuchi (ed.) Individual Languages and Language Universals (Special issue of Kanagawa University studies in languages) (pp.171-195). Kanagawa University.(『神奈川大学言語研究』)

(2)の二つは、『英語青年』所載のものが『学習院紀要』のサマリーというか、要請に応じて短くしたものです。学習院大学で行われた「関連性理論集会」(2000年7月23~24日)、『英語青年』が関連性理論特集として組んでくれました。「れば、たら、なら(ば)」を扱っています。